【完全ネタバレ】少林少女という大変な映画を見たので記録を残そうと思う。

序文

TBSラジオタマフル24時間ラジオ(ニコ生)の企画で、各自DVDを見ながら出演者やコメントで解説とかツッコミを入れて楽しもうというのがあるが、その課題作品が今年は「少林少女」だった。当時から大変な問題作である事で話題になってはいたが実際には見た事が無かった為、この機会に見る事にした。

で、このもつれにもつれて元の状態に戻せないステレオイヤフォンのコードのような映画を見た結果かなり混乱したので私自身の記憶を整理する為に内容をまとめる事を主目的として記述したものである。

「少林少女」はこんな映画だった

中国で麿赤児少林拳を教わる柴咲コウが修業期間を終える。

故郷に帰って少林拳を広めたいと言う柴咲の事を麿は気を制御できないのではと心配する。

電車で故郷の町に到着、町中が彼女を見てすぐ分かる。少林拳を広めたい柴咲は早速その辺の子供を少林拳に勧誘するが相手にされない。

かつての道場を訪ねるとそこは廃墟になっていた。祖父(富野由悠季)の写った写真も放置されたままだ。昔なじみの人々に話を聞くと皆拳法家のような動きは見せるし製材所には何となく邪魔な場所に木人が置いてあったりするのだが少林拳の道場はもうやめたと語り、その理由は頑なまでに説明しない。

中華料理店に江口洋介を訪ねて行く。江口洋介は先生と呼ばれているのだが、つまり孫にして孫弟子ということだったのだろう。

一方ヘリで降り立った仲村トオル。歩きながら部下の報告を聞き指示を出している。絶大な権力を誇る学長仲村トオルだが、大会議場でプレゼンを遮って何を指示しているのか、週刊誌記事によって告発されつつある悪事とは何なのか、具体的には語られないし後のストーリーにもあまり関係が無い。

ちなみにここまでの部分、実際の映像では柴咲1分、仲村1分という具合にかなり頻繁にシーンが切り替わり、初見だと何がどうなっているのか、誰がストーリーに強く関わる人物で誰が脇役なのかほぼ分からない事になっている。

キティ・チャンは中華料理店で柴咲が演じたドタバタの最中、咄嗟に手に取ったラクロスのスティック(客席の脇に無造作に置いてある)さばきを見てラクロスへの勧誘を思いついたのだろうか。(スープこぼしてたけど)該当のシーンではただ店員さんが迷惑そうにしているようにしか見えない。

そもそもなぜ江口洋介はチャーハンとスープを厨房から投げてよこすのか。普段はティンたちが受け取っているのか。だとしたら何故ここではボーっと見てるだけなのか。

江口洋介もまた柴咲の疑問には答えようとしない。廃墟と化した道場へ戻った柴咲は何かを探したいようにも見えるがとくに探すシーンもなく翌朝になる。

キティ・チャンは中華料理店からティンの朝飯を勝手に柴咲のもとへ持って来てくれる。なぜかこの映画のキャラクターたちはお互い必要な会話や連絡をしない傾向にある。朝食を持ち去られたティン達少林サッカー組の繰り広げるドタバタは食い物の件で争っているくせに食い物を粗末にする、本来包丁でやるべきアクションをバナナで行うなど、理解をこばむ作り。

キティ・チャンは柴咲の目の前で太極拳らしき動きをしながら、片言の日本語で身の上を語る。柴咲は少林拳に勧誘するが、チャンは自分のラクロス部への勧誘と引き換えで少林拳に付き合うという条件を出す。

突然大学のプロモーション映像(ここで大学の俯瞰図と仲村トオルの役職がわかる)が入るがここの学生は勉強している気配がない。

キティ・チャンは柴咲に写真入りのパスを手渡す。どうやって発行するんだそんな物。柴咲の手を引っ張って強引に連れて行くチャン。この映画は説明を省くだけではなくて説明を求められても説明しないシーンがよく入る。

といってもラクロス部の練習へ連れて行くのはまあ予想が付く。

第一声で初対面のラクロス部員たちを少林拳に勧誘する柴咲。当然総スカンを食らう。総スカン表現が徒に長い。自分たちもラクロス初心者だという部員達(混乱)。柴咲はためしにスティックを使いボールを投げる。場外まで飛んで行くボール。場外で岡村隆史が因果関係の分からないドタバタを繰り広げ、水を浴びる。

シーンは学長に切り替わる。たぶん窓からラクロス部の練習を見て、見慣れない学生が居るのを見咎めたのであろう、最近編入させた学生が居るかと秘書(多分)に調べさせる仲村。そんな記録は見つからない。さっき発行してたパスって何なんだろう。

学生データベースにアクセスしていると思しきノートパソコンでなぜか同時にニュースを見る秘書。ジャーナリストの謎の死を告げるニュースを見てハッとして仲村トオルのほうを見る。これは多分仲村トオルの手の者による犯行という事だと思うんだが、それについてこの後金輪際出て来ないのでタマタマだったのかもしれない。

そんな事ってあるかね。

岡村隆史柴咲コウがグラウンドで初体面。岡村の役職を説明するのがキティ・チャンのため片言で良く聞き取れない。申請許可って何だろう?

ここで柴咲は岡村を知らないが岡村は柴咲の中華料理店でのドタバタを見ていたという事を示す回想が取って付けたように入る。

CGを使ったチャーハンを作る江口に、チャンが柴咲のラクロス部編入を知らせる。

その頃柴咲は道場の建物自体の修繕に取りかかっていた。金槌を持って作業している風だが具体的に何をしているのかは分からない。

閉店後の中華料理店の厨房で1人鏡を見て考え事をする江口。

翌朝、ラクロス部の練習に顔を出す江口。学校関係者だったのか? いやそれよりヒゲ剃って来たのか? 女子大生に合うからサッパリさせて来たのか?

柴咲の投げた真横に変化するありえないボールをベアハンドキャッチした後、スティックの網の中に正確に投げ返す等でラクロス部員を威圧する江口。とくに何の説明もなしにラクロス部コーチの座に納まる。ラクロス部員たち「この人何者?」「そんなこと、どうでもいいのよ!」よくないよ。それに中華料理店はどうするの?

と思ったらラクロス部員がみんなで中華料理店に行って会食している。厨房の江口に少林拳はどうするのかと詰め寄る柴咲。だが江口は「強くなってどうなる」と取り合わない。普通に会話が成立してれば最初の日に終わってる話だ。

道場で祖父の道着を発見(探していたのはこれだったらしい)した柴咲の所に現れるチャン。先生に止められてもコッソリ少林拳を教えてくれればいいと話す。あれって止めてたのか。そして二人の修行シーン(長め)。

仲村、柴咲の編入許可申請が二日前に来ていた報告を受けながら筋トレ。

江口コーチ、自信満々でラクロスの指導。しかしこの中にラクロスのルールを知っている人はいるのだろうか。

少林拳の基礎を取り入れたコーチングはどうやら功を奏しているようだが「コーチが変わるとこうも変わるもんですかね」って君ら初心者だった筈では? 前任コーチって誰? 岡村隆史

柴咲はなぜか江口コーチに冷たくあしらわれ、練習試合ではチームワークを乱してチームを敗戦に導いてしまう。ここの上手くいかない描写はおもにパス要請を無視して突っ走る、シュートしても思った方向に飛ばないというシーンの連続になっているのだが、ボールのイレギュラーっぷりが逸脱しておりチームワークの話とは思わずに見てしまう。ここは柴咲がチームの信頼を失い一度落ちるシーンの筈なのだが、そもそもこれ以前にも柴咲の並外れたシュートがゴールに入っている描写がほぼ無いので、むしろ今までなんでみんなから信頼されていたのかが分からない。 岡村隆史はたしかラクロス部監督だった筈なのだが中華料理店の店員たちと一緒に場外の芝生からオペラグラスで試合を眺めながらビデオを回しながら3人で面白くないコントをしている。ここの笑えなさは特筆に値する。

柴咲はチーム全員から2度目の総スカンを食らい一人別方向へ去って行く。着替えとかどうするの。

1人道場へ帰った柴咲は道場脇の草っ原で、そこには居ないメンバー達の名を呼びながらチームワークのイメージトレーニング。それを後ろからそっと見ているキティ・チャン(地獄)。

日が変わって何らかのトレーニング中と思われる柴咲は道ばたの芝生に寝っころがって考え事。グラウンドの少年サッカーのコーチが張り上げる大声が耳に入る。このサッカーコーチのキャラが妙に濃い。なおいきなり少年サッカーに混じって練習を始めてしまうにあたって、冒頭に出て来たスポーツ用品店の奥さんが出て来てフォローしてくれるんですが、もしかするとこのコーチ、トータス松本を想定して作った役だったんじゃなかろうか。とこれは下衆の勘ぐり。

なおこの練習中、グラウンド脇の道をラクロス部員たちが通りかかるのだが、なんでサッカーやってるの?→ラクロスには戻れないよね→(ああしてチームワークについてマジメに取り組んでいるんだな(ニヤニヤ))と、この表情の変化だけで実際に和解が成立してしまうのがこの映画の凄い所。

その証拠に次のシーンから劇判がいい感じの曲になり、一人で少林拳の稽古(もしくは太極拳)をやっている柴咲の隣にはいつのまにかチャンが。サッカーの練習に通ううちにちゃんとパスを出せるようになり、やがて二人だけだった少林拳の稽古(もしくは太極拳?)にラクロス部員が参加するようになっていく。サッカーでチームワークができるようになると(なったらしいが、サッカーのコーチに認められるなどの描写はもちろん無い)普通のパスしか打たなくなるのはどう考えれば良いのか。良い感じのBGMが続いている。

そうしてある日、柴咲とチャンの二人が芝生で寝転んでいるとラクロス部のみんながラクロスの練習に二人を誘いにくる。

ラクロス部員たち「何やってんの?」「練習!」「ハヤクー!」笑顔で手をふるチャン、次第に笑顔になる柴咲、駆け寄る部員たち。

つまり柴咲は今までラクロスの練習からはハブられていたらしい。

何だこの段取りは。

どう考えても少林拳の稽古にラクロス部が参加しだすタイミングがおかしい。

さらにおかしいのはその次のシーンから柴咲がラクロス部の練習を仕切って山の中で特訓したりしてるんですが、江口洋介はどこに行ったんですか。

……ラーメンを作っていました。

ラクロス部のみんなで和気あいあいと食事、新ユニフォームをみんなで決める、そしてみんなで少林拳(木工所の入口にあった木人がピンクに塗られて草っ原に立ててある)そして料理をしている江口洋介の元にラクロス部員たちが、柴咲と一緒に練習がしたいと必死の訴え(禁止されてたのか? ちょっと巻き戻して見てみたが、一緒に練習する事を禁じているシーンは無かったぞ。)

江口「わかったぁ! わかったわかったぁ!」ヤッター! 

もしかして時系列シャッフル演出なのかな。

次のシーンで練習試合に勝って、

廃墟だった道場の修繕もみんなで手伝えばテキパキ進み、

練習試合に大差で勝って、

少林拳の稽古に道場の清掃、

練習試合に大量得点で勝って、なぜか相手チームも一緒に喜びを分かち合い、

道場にはついに灯りがともり、

さらに道場にラクロス部の新ユニフォームが届く(部室とかないの?)。これらのシーンがセリフ無しで、さっきから続いている良い感じのBGMに乗ってパッパと切り替っていく。

すっかり復旧した道場の片隅には富野由悠季を中心に旧門下生が並んだ写真が。後ろに並んでいるのは仲村トオルじゃないか? という事に最初は気付かなかった。富野由悠季の顔ばっかり見てしまうからだ。でも皆は、学校のプロモーション映像にさえ出てくる学長が写真に写りこんでいることに気付かないのだろうか、それとも、そんな事どうでもいいんだろうか?

かくして新道場でラクロス部のみんなと型の訓練、竹林の中でもみんながエフェクトの付いた球を投げられるようになる。柴咲ニッコリ。

ここでいい感じの劇判が終了して江口洋介としんみり語るシーン。「形じゃないよ、心だよ」とかどうも具体的な話にならないが、要するに柴咲は気の力が強すぎるので戦いに身を投じれば気の力に飲まれ、ダークサイド的な闇に落ちてしまう可能性が高く心配だ。俺が守ってやるからお前は戦うなよ、という事を言われる。

その夜道場で仲村トオルの手の者と思しき黒バトルスーツの集団に襲撃される柴咲だが先生の教えを守り「私は戦わないよ」と宣言。しばらく挑発をしたのち道場から出た黒集団の1人「やはり戦いません」とどこかに通信。

ジムっぽい場所で電話に出ている仲村トオル。ジムから出ながら電話機をもう一度耳に当てる。

厨房で電話に出ている江口洋介。店を抜け出す江口。そこへ駆け込んでくる柴咲。途中で会わなかった?

道場で待ちながら回想する江口洋介仲村トオルにボコボコにされながらも、柴咲の行き先は教えない。

仲村トオルが到着。「なぜ戦わない?」江口さんは戦わなきゃダメな立場なんじゃないの? 守るんでしょ?

江口「アイツの力をひきだしてどうするつもりだ?」仲村「随分待ったよ。……俺はただ、戦いたいだけだ」

江口洋介、説得を試みるが単にボコボコにされる。

仲村トオル「来ないのならば、来るようにするまでだ」そして携帯で指令をだす。「彼女が大切にしている物を全て壊せ。そしてその憎しみを、私に向けさせろ」

あらすじかよ。もうちょっと具体的に命令しないとダメなんじゃないか。

道場に駆けつける柴咲コウ。同じ所を行ったり来たりである。

さっき帰った黒集団がまた来て今度は道場に火をつける。乱暴な事をするね。

店長が帰って来ないのに閉店している中華料理店に岡村がやってくる。面白くないやりとりをしていると黒っぽい人たちが店にもやって来て、キティ・チャンを誘拐する。応戦する店員たち。だが厨房のガスが全開で漏れていることを指摘する岡村。全員で急いで逃げ出す。

爆発する中華料理店。店員たちと岡村は田んぼに逃げこんでドロだらけになっている。中華料理店の燃えかすと思しき火球が隕石のように降り注いでいる。

燃え盛る道場に祖父の道着を取りに戻る柴咲。フラッシュバックする道場再建の思い出。

江口はなぜ自分が非暴力主義になったのかを語る「あの頃の俺は、少林拳の教えを破った。だから自分で自分を破門した。」普通はそう言う事を言ったら、いつ頃、何をやらかして、どんな目にあって反省したのかを説明するシーンが入ってしかるべきだと思うんだが、ここではこの適当なセリフ以外なし。

「お前の持つ秘めた気の力は凄まじい」と言われて柴咲は祖父の死を知らされたときの事を思い出す。多分電報だと思うけど「祖父死ス」とだけ書かれた紙を手に持って悲しみに暮れる少女。あたりに猛烈な嵐が起こり、指導の僧や同門の子供たちが飛ばされたりする。

「その先に待っているのは、飲み込まれたら二度と戻れない戦いの闇だ」なんとか柴咲が戦うのを止めさせようとするが、駆けつけた店員たちに(なぜ駆けつけるのか。警察とか消防署はないのか)キティ・チャンまでもがさらわれたと聞いては説得にも限界がある。「先生、私は戦いの闇には落ちないよ。だって、私を守ってくれた人たちがいるから。今、大切だと思う人を私は守りたい。先生だって、私にそうしてくれていたじゃないですか。」いたかなあ。

「必ず、帰ってこいよ」説得されてるのかよ。

夜明け前の大学に向かって行く柴咲。祖父の白い道着を着ている。所々の止め絵はかっこ良いんだよなー。

黒い人たちが迎撃してくるのをやり過ごしながら建物に入って行くと早速黒い道着の中ボス風の人が立ちふさがるがハイキック一発で倒す柴咲。

ケイトー型マスクの黒い集団(わらわら向かってくるだけでさっきの人たちと何が違うのかは特にわからない)をかいくぐって階段を上る。

踊り場の大きな銅鑼を振り回して何人か墜落させる(CG)

ついでに自分も落ちる。何やってるの。

吹き抜け天井のステンドグラスをぶち割って中華料理店員の二人が降りてくる。「実は俺たちも少林拳の普及のために来たんだ」「上手くいってはいないが」ここでそれを説明するのはいくらなんでも……。

玄関ホールの敵を二人に引き受けてもらって上階へ。

お、鏡の間かな?とおもった場所が鏡の廊下だった。直進で通り抜け可。

次の階段ステージではどこからとも無く多量のスリケンが飛んでくる。刃物が道着の袖をかすめる。傷らしき物は後にも先にもこれっきり。

その後ジャンプでギリギリ届く段差に捕まってその下の排気口かなんかを足で割って室内に入りこむ。暗くて良く見えん。

モニターの並んだ部屋には監視員も居らず、写っているのもちょっと前のリプレイ映像の様子。

その後はカラテカみたいな落ちてくるフェンスに行き先を阻まれ、照準を合わせる画面が出るが、銃撃ではなく狙いすましたツープラトン攻撃。ロボなの? 2人居たけど難なく蹴りで撃退。撃退すると通せんぼしていた電流フェンスが上がって次のステージに行けるようになる。完全にゲームである。

そこを抜けると廊下の行き止まりにブルースリーの偽物がいてヌンチャクを振り回しているが(もっとモノマネの上手い人、いくらでもいるのでは?)あえなくハイキック一発で倒れる。

柴咲コウわりと大暴れしてる雰囲気だけど、戦いの闇問題はこの程度の戦闘では発生しないんだろうか?

なぜか画面は先程の玄関ホールに戻るが中華料理店員と玄関ホール雑魚たちの疲れ切った殴り合いだけが続いている。

柴咲コウ、一言で言って死亡の塔っぽい障子に囲まれた部屋に到着。今度は一度に3人が相手だ。蹴りを受けて飛び込んだ小部屋には掃除用具と一緒に各種道場の看板がみっちり飾られている。

箒とバケツと雑巾をラクロスのスティックのように使って3人同時に目つぶしをして打撃を食らわせた所で「そこまで」の声。

なんと岡村隆史である。このへんの敵からオーラが出ます。「待っとったでぇ。全部見させてもろとったわ」と言うけど、だからって独特の弱点を突くとかそういう細かい事はして来ない。普通にカンフーをしている。

この映画唯一の、柴咲コウが顔を蹴られるシーンこそあれ、謎の間があってからの逆襲の一撃(柴咲の体から赤いオーラが出るが、特に殺意の波動に目覚めた様子はない)壁にヒト型の穴を開けて玄関ホールまで落ちる岡村。

建物同士の位置関係もそうだが部屋同士の位置関係がさっぱり分からん。

問題のラスボス(仲村トオル)戦である。エジプト風の絵が飾ってある薄暗い校長室に入ると仲村が「遅かったな」とか言って戦闘開始。とくに躊躇無く戦う柴咲。

部屋のまん中に思いの外深いプールがあって落とされたりするが、カンフーの力なのか説明なく水面上に立てたりする。ジーザス。

キティ・チャンはこの部屋に囚われてはいるものの別に縛られたり見張りを付けられたりはしておらず、ソファーの上で普通に二人の戦いを観戦している。ちなみに助太刀もしない。

その後も水面で戦ったり、打撃を受けた方が水に沈んだのち飛び上がって来たり、二人で水中で戦ったり、仲村が水中で黒っぽい波動拳みたいなのを発射したり(泥水に見える)、何が出来て何が出来無いのか、水中では呼吸ができなくて苦しいのか、普通に喋ってるから特に困らないのか、決まり事の分からない戦いが続くのだが、やがてプールの水が溢れ、天井から吹き出し、戦う二人とともに空中に舞い上がる。空中で大の字になって、光に包まれた柴咲が仲村トオルをやさしくハグ。何これ。

それと同時に精神世界(?)に入って行く画面。真っ暗な画面に広がる水の波紋。やがて目一杯ボカしのかかった木漏れ日のような光が広がる。

オーバーラップして切り替って行く様々なイメージカット(古い時計の文字盤。キラキラと太陽を反射する海の波。青空を高速で雲が流れ、明滅する太陽。木漏れ日。草っ原を歩く少年の足。仲村トオルの目のアップ。板の間に落ちる手の影。年かさの子供に手を引かれる幼児の目線。はばたくシルエットの鳥。草ボウボウの公園。空手の稽古をする子供達。海に落ちて行く夕陽。乳を吸う赤ん坊、空手着の幼児などなど)のバックに、静かなピアノ曲と、モワモワにエコーのかかった柴咲コウの読む、なんだかぼんやりとした言葉が聞こえるような聞こえないような、妙なディレイが入ったりするポエム。映像のほうもオーバーラップのスピードが不安定に変化したりして、どっちかというとホラー映画めいた編集になっていてコワイ。

これはカメラが現実世界に戻ったら仲村トオルの体がむちゃくちゃに膨らんだりしてる奴では?と思ったが実際には仲村トオルの目のアップから涙が落ちるだけなので安心。

二人とも無事なままもとの室内へ落下、プールは塔ごと崩壊して水を四方に撒き散らす。

光に包まれたまま、ついに地面まで降りて来た二人は、向かい合って、仲村トオルは童心を取り返したのか一瞬子供の姿になって、柴咲おねえさんに教えを請う体勢になっている。なぜ柴咲コウまで一瞬小さくなるのか。そしてなぜ何回も小さくなったり戻ったりを繰り返すのか。ステータス異常なのか?

そういえば建物が崩壊したわけだけど人質のキティ・チャンは生きてるのかな。とおもったら上から笑顔で「大丈夫ー?」って。

場面は変わってラクロス部員が試合の準備をしながら、柴咲の到着が遅れていることを気にかけている。

そうすると林の向こうからヘリが飛んで来て、空中のヘリから元気に飛び降りてくる柴咲。もしかしてさっきのアレが明けて同日ってこと?

うわー(完)

スタッフロール開始。

試合が始まり、本編では練習している気配すらなかったラクロスでの連係プレイから柴咲のゴールが決まったり、監督をしている江口のとなりに同じ服で中華料理店員の二人が立っていたりするがどういう事情かは分からない。

ミヒマルGTの主題歌が始まりながら、ラクロス部が試合に圧勝した様子を伝える校内広報ペーパーを見ながら満足げな岡村監督。

主人公に戦いで敗れたのに、全く元の立場を失わない悪役とは随分斬新である。戦いの無意味さを物語っていますね。

少年サッカーの子供達が皆で少林拳っぽいステップを練習しているシーン。

ドーム型のスタジアムでラクロスの試合が行われ、超人的なプレイを見せつける主人公チーム(ボールが地面にもぐって相手ゴールの地面から飛び出して来たりする)。スコア50対0の表示。

何らかの大会を勝ち進んでいるらしく、さらに巨大なスタジアム(サッカー場っぽい)での試合シーンに切り替る。超人的プレイで優勢に試合を進める主人公チーム。江口コーチはなぜか客席に居て上機嫌で手を叩いている。カメラが回り込むと隣にいるのは仲村トオル。二人ガッチリと握手を交わす。……店を爆破されたり道場を燃やされたりしたと思うんだけど、もう記憶もしくは自我を失っているとしか思えない。

(この辺で歌が終わる)

少林ラクロス部と化したチームの超人的パス回しによってボールは火をふき、龍になり相手ゴールを破壊してスコアはついに100対0に! 人死んでない? 

ナンバー、ニューズウィーク、タイムの表紙を飾る少林ラクロス部。合間合間に少林拳の稽古に励む子供達のカット(動きは適当)。もはや負け知らずのラクロス部たちは新しい試合に向けて気合いを入れるのであった。

おしまい。

 

こうして全てのシーンを列挙してみても、まるで夢日記のようだ。これほどまでにあらゆる辻褄が破壊された映画は後にも先にも見た事がない。私は最初見た時ストーリーをすっかり見失ったので、もう一回落ち着いて見て、全部のセリフを聞き取れば、面白いか面白くないかは別として、どういうストーリーの映画だったか理解はできるのではないかと多少期待していたのだが、無理な物は無理だった。これはどう言うストーリーにするか最後まで決められなかった映画だ。

ちなみにレンタルDVDで見ていると、本編がすべて終わった後、3時間にも及ぶメイキング映像が始まるのだが、一体どういう神経なのか。さすがにメイキングまでは付き合ってられないよ。